日本は2010年頃からグローバル企業を代表する楽天株式会社などが英語を公用語にする動きが注目されるようになりました。
それまでは海外貿易事業などを中心とする企業にしか英語公用語化制度を導入していませんでしたが、楽天をはじめとする一流企業が社内公用語化に取り組んだことをきっかけに同じように導入を検討する企業が多くなったと言われています。
では、実際に英語を公用語として取り入れている企業について実態検証していきましょう。
こちらの記事も参考にしてみてください。
Contents
2010年に楽天株式会社が英語公用語化を宣言
楽天株式会社は2010年6月30日に行われた会見で社内公用語に英語を取り入れることを発表しました。
将来的には事業を27ヶ国地域に拡大する戦略も発表し、2012年から社内ではすべて英語で業務を遂行するという方針を掲げています。
現在、楽天には世界で70以上の国や地域から人事が集まり、全社員6,000人に対して多国籍比率は2割強です。
会議は日本人だけで行われることはほとんどなく、必然的に英語を使う場面が多いことからし自然に英語を公用語化する動きが見られたのでしょう。
社内メールも基本的には英語でやりとりしますが、アルバイトまたは契約社員に対しては日本語でサポートするといった体制があります。
社内でのコミュニケーションは勤務形態等関係なく、原則英語が使用されるようになっています。
英語公用語化した楽天株式会社の実態
楽天株式会社の代表取締役社長である三木谷浩史氏が、2年間で英語を社内公用語化にする会見が行われた後、全社員は一丸となって英語のスキルを学びました。
そこには社歴が長い社員や英語ができないといった理由が例外対象になることはなく、自ら率先して英語を勉強しなければならないといった雰囲気があったようです。
これによって英語習得だけでなくベンチャー魂を大いに発揮する社員も珍しくなかったのではないでしょうか。
社内公用語化制度を開始したばかりの頃は「経営会議」を様々な英語で表現する場面があり、混乱を招いたこともありました。
何度も確認作業に追われ問題を解決するまでに、社内で使用するための英語用語集を作成することや別の業務に追われることもあったようです。
このように社員は試行錯誤しながら、現在も英語学習を全面的に取り組んでいます。
また、企業側も社員全員に対する学習サポートを徹底しています。
公用語化を取り入れてからの変化
楽天株式会社は、社内公用語化を実践してから約8年が経過しました。
公用語化してから大きく変わったことは、全社員が英語のスキルが身に付いたことによりキャリアの可能性が広がったことです。
海外研修にも全員参加可能、TOEIC830点超え
海外研修や海外赴任は全社員が対象となり、展示会や派遣などにほぼ全員が参加できるようになっています。
個人レベルで変化においては、現在TOEICの点数は帰国子女を除き、平均で830点超えです。
しかし、TOEICに関してはあくまでも目安の一つに過ぎず、基礎力をつける段階と捉え今後は具体的にビジネスへと応用化させていく見通しとなっています。
そのための準備期間として、現在は異文化理解を深めるための研修制度を導入し始動させています。
ここでは、専門の外国人講師を招き「ベーシック」「アドバンス」2つの講座を展開中です。
研修を通して社員に一番伝えたいことは、我々日本人は外国人との違いを理解した上で受け入れるということです。
文化の違いは肌で感じられるものですが、これを学問として学んでほしいという目的があります。
ベーシック講座・アドバンス講座
ベーシック講座では、多くの日本人は行間読み多くを語らないというコミュニケーションの特徴があることを学び、社員一人ひとりがどの文化に近いかを考察したり、文化の違いをどう乗り越えてコミュニケーションをはかるのかという課題に対して意見を出し合います。
一方、アドバンス講座ではベーシック講座での学習を踏まえて、実際業務上で抱えている課題の解決方法を議論する時間を設けています。
この他、社員の英語スキルをより高めるために、英語塾を開講したり英語アプリの解発をしたりと公用語化の能力を伝授するコンサルティング事業の取り組みも行っています。
英語公用語化継続中のユニクロの実態
楽天株式会社での社内公用語化は、当初は社員一同戸惑いの色があったようですが、企業側のサポート体制によって着実に英語の対応能力が向上している実態を見せていました。
次は、同じく2012年3月に英語公用語化を実施した株式会社ユニクロについての実態についても検証していきましょう。
ユニクロに勤務している社員からはどのような声が寄せられているのかご紹介していきます。
英語に対する意識が上がった
企業が英語を社内公用語化にすることによって、英語に対する意識が高まったという意見があります。
しかし、実際は日本人同士の場合部署内でも日本語で会話することが多いということが明らかになっています。
英語を率先して使う努力はするものの、日本語に比べて英語は伝えたいことをうまく表現できず、困っている社員も多いようです。
楽天株式会社のように研修など学ぶ機会はあっても、業務を一通り終わらせてからになると体力や気力が追いつかないといった場面もあります。
英語ができないと昇進に影響しそうといった不安があり、社員でいることに必死になっている人も多いことでしょう。
部署によってスキルの違いが出る
企業全体を見てみると公用語を英語にしても各部署によって浸透度が違っています。
海外支所や取引先と頻繁に連絡を取り合う社員は英語が必須になりますが、日本人としかやりとりのない部署は基本的に日本語で進めてしまうことがほとんどです。
また、大勢の社員が出席する会議や先輩や上司などが同席する場では頑張って英語を使うといった状況の違いによって英語と日本語を使いわけている風潮もあります。
社内公用語を英語にする目的とは
ここまで楽天株式界会社と株式会社ユニクロが実施している英語公用語化の実態について解説してきました。
しかし、ここで紹介した2社だけに限らずなぜ英語を社内公用語にするのでしょうか?
その目的は、海外展開に積極的な姿勢であること、各国の現地スタッフとスムーズにコミュニケーションがとれることを重視しています。
仕事のミス・ストレスに?
しかし、日本語と違い英語は細かなニュアンスの違いで誤解を招いてしまうことが多々あります。
大事な業務ほどちょっとした解釈の違いで結果的に大きなミスにつながってしまう場面も多いことでしょう。
こういった表現の違いを失くすにはかなり神経を使わなければなりません。
時には日本語で伝えた方が良いケースもあり、英語の公用語化には超えなければならないハードルがいくつもあるのです。
企業の海外展開が背景に
そんなリスクがありながら現在日本の企業が社内公用語化を進めるには、やはり海外からの売上なしでは企業が成長戦略を実践していけなくなってきているという事情があるからではないでしょうか。
企業としてはメールや電話、会議など全て英語に統一してしまえば、外国人スタッフに議事録を翻訳したり、別途説明したりといったことがなくなります。
企業マネジメントの観点から言えば、かなり効率的になることは間違いありません。
英語を企業の社内公用語化にするにはコストや社員の負担など様々な課題が浮かびますが、長い目で見ると業務効率のアップにつながります。
すでに英語を社内公用語化として実施している企業は、英語を学ぶか学ばないかで悩む局面はとっくに過ぎていると言えます。
英語が話せることを社員の義務と捉えている人も多く、業務を行う上での資格取得として考える社員も少なくないでしょう。
★★参考記事★★
最近のコメント